韓国東レ科学技術研究基金
情熱的な新進科学者及び工学者を発掘し、潜在性の高い研究課題を支援し、
クリエイティブで差別化された研究活動に没入できる環境を造成して参ります。
受賞者紹介
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基礎分野
ラジカル選好多孔性構造体の研究
有機ラジカルは触媒、センサー、電気化学のエネルギー保存など様々な分野活用可能性が高いが、安定性が低くてラジカルを含む素材具現が難しく、一度消滅されると再導入のためには高いエネルギーが要求される。それで、パク教授はラジカル本来の安定化戦略で形成されたラジカルπ-stacksをビルディングブロックで活用し新しいラジカル選好多孔性構造体の合成法を提示する。
ラジカル素材の電荷分離状態はゲスト分子(guest molecules)に対する吸着力を高め、光の照射無しで持続的なROS生成が可能な触媒として活用できる。本課題は世界的に先占されていない分野で、セルフアセンブリー有機ラジカル - 多孔性プラットフォーム開発に先導的な役割が期待される。
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基礎分野
超塩基基盤の二官能有機触媒の設計と非対称反応での応用
イ・ユンミ教授の課題は二官能キラル有機触媒を設計及び合成し、これを多様な非対称有機反応開発に応用することを目標とする。キラル性化合物の効率的な合成を可能とする非対称触媒反応開発は持続的な研究の必要性が台頭される課題で、優秀な反応性を持つ新しいキラル性触媒システムの構築は一つの反応ではなく、多数の高い選択性のある開発に繋がる。
非対称添加反応及びフッ素化反応の生成物は有機合成、製薬、材料科学など幅広い分野で適用可能な高付加価値物質であり、有機フッ素化合物は現在開発されている新薬の最大20%を占めるほど注目を集めていて、今後新薬開発で中枢的な役割を果たすと期待されている。
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応用分野
3.5V 電位を持つ水系リチウムイオン電池(LIB) 負極の開発
炭素中立宣言以後、さらに重要性が増えた非水系LIBは頻繁な火災事故と高価という致命的な短所があったが、革新的で源泉的な電池の開発なしでは改善が不可能である。そこで、ビョン教授の研究課題はサイクル性能とエネルギーの密度が現在非水系LIBと似て安定的で単価の低い水系LIBを開発する目的があり、水系電解液と電極の界面を改質し、最終的に約3.5Vに達する電位窓をもつ水系LIBを開発しようとする。
界面での電気化学反応及び電気二重層の構造に関する研究は現在未知の分野で、本研究課題の結果は低価で安全な水系LIBの商用化に寄与し、ESS市場の要求に合うことで学問及び応用研究の両方に影響を与えるものと予想される。
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応用分野
分子スイッチの構造制御を利用した多進法(5進法以上) 有機論理インバーターの具現
半導体工程の微細化が発熱により素子の安定性などの問題で限界にぶつかり、より少ない数の素子で同じ演算ができる多進法論理回路が代替材として浮上し、2進法インバーター数の約63%の素子で同じ演算ができる3進法インバーターの開発が注目されている。
ジョン教授の研究課題は3進法インバーターに Diarylethene 分子スイッチを導入し、特定の波長の光源により各半導体の抵抗を調節し、5進法以上の演算が可能なインバーターの具現を目標とする。最低5進法以上の演算が可能なインバーターが開発されたら今までの半導体に必要だった素子の半分以下の数でも同様な演算だでき、半導体微細化の大きなチャレンジ課題であるコスト削減と電力効率性の極大化に画期的な解決策となる。
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基礎分野
DNA基盤コロイドトランジスターの超精密な自己集合技術
現在、次世代の半導体製造工程として誘導自己集合の工程が提案され、多くの研究がなされているが、ナノ物質を特定一に組み立てする研究は精密度が低いため改善どころが多い。李基羅教授の研究課題はこのような限界を克服するために分散が可能なトランジスター素子を製造し、DNAを利用して特定一に配列させることを目標とする。
コロイドトランジスターの製造及びDNA基盤の組み立て研究は2次元平面で活用され、従来のトップダウン型で製造された素子製造構成の改善ができ、今後においてもDNA基盤ナノ物質の組み立てに拡大適用することで、ナノ光学素子、太陽電池、スマートウインドウ、量子コンピューターの製造工程などに様々に活用できる。
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基礎分野
ニッケル触媒を用いた多重ヘテロ環状合成研究
趙恩珍教授の研究課題は、敏感ではなく温和な条件のもとで反応するニッケル触媒システムを具現化し、これを用いて様々な機能性の多重ヘテロ環状を合成する課題である。
これまで様々なヘテロ環状合成法が開発されたが、多数の置換基を持つ多重ヘテロ環状合成はかなりの時間と費用を必要とする。本研究を通じて、合成が難しかった様々な多重ヘテロ環状化合物の誘導体を合成し、新しいライブラリーが構築できると見込まれ、完成された合成ロードマップは新薬開発や医生命科学の研究及び素材研究で構造-活性の相関関係の探究を可能にし、関連分野における発展に貢献すると期待される。
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応用分野
個別化された構造色のパターン化のための3次元コロイド配列の2D及び3Dプリンティング技術の開発
金伸炫教授の研究課題は視覚的な刺激が重要な技術感性の時代に、単一な構造色の画一化されたパターン生産技術の限界を認識し、これを乗り越えられる光重合性コロイドインクのDirect Writingを通じた2D/3Dプリンティング及び自己配列による構造色を発現させる課題である。
自然の構造色を模倣し、化学色素では具現化できない多様な色や色感を発現させ、高い熱安全性と低い毒性の構造色素を用いることで高感性の光学素材技術をリードすることができ、各種の衣類及びアクセサリー、コンタクトレンズ、スマートフォンなど日常のあらゆる分野で色素なしに審美的な構造色のパターン化を可能にする。
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応用分野
有機酸化-還元トランジスター用チャンネル-電解質素材の開発及び人工シナプスの応用
吳俊鶴教授の研究課題は、高性能有機酸化-還元トランジスター用チャンネル及び固相電解質素材を開発し、工程最適化を通じて駆動性能が極大化された有機人工シナプスを世界初で開発することを目指している。
ゲート電極の酸化-還元反応を伴う酸化-還元トランジスターは、ゲート電圧を通じてエネルギー障壁を調節できるため、高いRetentionと低いプログラミング電圧を同時に達成できる。研究結果を通じて、シナプス素子の限界を突破できる源泉素材と素子及びシステム技術を確保し、人工知能である次世代半導体の源泉素材/素子技術開発の礎を築き、急成長するニューロモルフィック素子産業において将来の技術競争力を確保できると見込まれる。
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基礎分野
極性反転の短寿命カルボニル基を活用した有機合成法の開発
金熙珍教授の研究課題は、カルボニル基の炭素-酸素の二重結合をそのまま維持した状態で炭素に金属原子が導入されたアシル陰イオン中間体を生成した後、その短寿命中間体が副反応で消耗される前に速やかに合成反応に活用することで直接的な極性反転反応を達成する課題である。
本研究は、カルボニル基の炭素と酸素の部分電荷をベースとする有機反応に関する考え方を見直すと思われる。なお、求電子剤を使うことで様々な化合物に転換させ、研究に普遍性が拡張されると期待される。
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基礎分野
成長メカニズムの制御による触媒ナノ粒子の合成
朴柾垣教授の課題はナノ粒子の形成メカニズムを調整して均一な構造のEnsembleを合成する新しいパラダイムの合成方法を確立し、それを適用してナノ粒子合成の難題を解決することを目的としている。
新しいプラットフォームを活用して多方面からのメカニズムを理解し、それを活して合成を制御するAb initio synthesisアプローチは様々な材料合成に適用できると予想される。これにより、Alloy、Core/shell、Semiconductorなどの微細原子構造、表面構造、Defectなどが均一に制御されたナノ粒子の合成ができるようになり、他の材料システムへの拡張が期待される。
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応用分野
外部環境の変化及び危険度診断用の色変化のできるスマート粒子及び塗料の開発
金範埈教授の課題は、建物や塗料に使われるペンキ素材として、温度や光、ガス、圧力など外部の環境変化をよりよく感知できるよう各刺激に色を変えられる自然模倣型高分子粒子を開発することだ。
課題の技術は、高分子粒子のみで構成された塗料の製造が可能であるため、塗料助成の単純化及び機能性において大きな差別性を持つ。なお、乳化法を基盤とする技術は、水溶液上で高分子粒子を作るため環境に対する有害性がない上、従来の塗料製造工程に簡単に適用できるため商業化が容易であり、費用の削減ができるとみられる。
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応用分野
免疫拒否反応の回避のためのナノスプリング構造基盤の人工肺の研究
金正教授は本課題を通じて、人工肺表面に理想的な血液適合性をもたらすようステルス(Stealth)できる新たな概念の表面構造と特性を導入し、血液が人工肺の存在そのものを認識できない構造を研究する。
重点研究分野である新規ステルス素材は、様々な血液接触機器への適用が可能であるため、人体挿入型人工臓器技術を一層進歩させると予想される。それに加え、従来の水処理、気体分離分野に集中されている韓国の分離膜技術をヘルスケア分野へと幅広く拡張させる転機になると期待される。
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基礎分野
ゲノム編集に対応するプロテアソーム基盤のタンパク質はさみの開発
李民宰教授はプロテアソームの人工的進化を通じ、特定のタンパク質を選択的に除去する方法を開発し、これが病因性タンパク質を特異的に分解することでproteopathy疾病の新たな治療方法として適用可能であることを証明する研究を続ける計画だ。これにより、退行性脳疾患のような様々な疾病克服に重要な転機を画すると期待される。
特に、非正常的に蓄積された様々なタンパク質をdownstreamで解決するソリューションを提供することで、開発できれば遺伝子組換えより安全で効果が高いと予想される。
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基礎分野
両性窒素-ヘテロ環状カルベンを基盤とする高効率オレフィン複分解の触媒開発
李恩星教授は、従来の求核性窒素-ヘテロ環状カルベン(N-heterocyclic carbine、以下NHC)研究の限界を超え、両性NHCが導入されたオレフィン複分解触媒の合成及び反応性を研究し、両性NHCを基盤とする鉄ベースのオレフィン複分解触媒を開発することを目指している。
それにより、将来の触媒化学市場における次世代のオレフィン複分解触媒の源泉技術を先取りできる。両性NHCシステムの応用を通じて触媒剤を高価なルテニウムの代わりに鉄を用いることで実際に学術的かつ産業的に価値のある触媒システムとして活用されると期待される。
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応用分野
有機単分子素材と二次元物質の接合を活用した新たなハイブリッド機能性電子素子システムの開発
王建旭教授の研究課題は、従来とは全く違った垂直型分子トランジスターを製作し、これを基盤とする論理素子(NAND/NOR、インバーター)を世界初で実装することを目指している。これを通じて低電力、超軽量化が求められる次世代の電子素材・素子として商用化が見込まれ、未来素子に対する源泉技術の確保とともに、分子電子工学の発展において重要な起点になると期待される。
2次元の機能性電子素材を作ってきたことを画期的に改善する、非常にチャレンジングかつクリエイティブな課題として評価されている。
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応用分野
酸素負イオンの酸化還元のみを用いる、新たな高容量リチウム二次電池の正極素材の開発
李倫禎教授の課題は、ナノサイズの触媒素材がLi2Oを包む形の物質を合成することで、高エネルギー密度の正極材を具現することを目指している。これを通じて、リチウム二次電池の容量拡大が可能となり、モバイルICT、電気自動車、ESSなどに幅広く活用され、関連産業の発展と共に次世代のエネルギー技術を先取りできる。
なお、界面反応と触媒、電気化学についての研究は空気電池、触媒化学、電気化学の素子分野において広く適用可能であるため、類似学問の発展にも貢献するとされる。